ある猟師が、ライオンの跡を追いかけていた。
かれ
りょうし
らいおん
あと
お
りょうしきこり
彼は、森で樵に出会うと、
らいおん
あしあと
み
たず
もりきこりであ
「ライオンの足跡を見なかったか?」と訊ねた。
すると樵はこう答えた。
「よし、今から、ライオンのところへ連れていってやろう」
すると猟師は、真っ青になって、歯をがたがた
ふる
りょうし
は
いま
らいおん
つ
きこり
こた
震わせてこう答えた。
わたし
さが
こた
「いや、いいんだ。私の探しているのは、ライオンの足跡で、ライオンではない^^」 2、海辺を歩いている旅人
海辺を歩いていた旅人たちが、高い断崖に登
うみ
みわた
かなた
おお
ふね
うみべ
ある
たびひと
たか
だんがい
のぼ
うみべ
ある
たびびと
らいおん
あしあと
らいおん
り海を見渡した。すると彼方に大きな船が見えた。
たびひと
旅人たちは、船が入港するのを一目見ようと待
ふねにゅうこういちもくみま
つことにした。
しかし、船が風に流され、岸に近づくに従い、それは、単なる小船であることが分かった。それどころか、小船が浜に漂着した時には、木の束となっていた。
3、ミツバチとジュピター
ある女王蜂が、ジュピター神に、蜂蜜(はちみつ)をプレゼントしようと、オリンポスへと昇って行った。
蜂蜜を痛く気に入ったジュピター神は、彼女の望むものなら何でも与えると約束した。 そこで、彼女はこんな事をジュピター神に乞った。
「偉大なるジュピター様。私は蜜を盗みに来る人間を殺せるように、針がほしいのです。」
にんげん
ころ
はり
いだい
さま
わたし
みつ
ぬす
きた
かのじょ
こと
じゅぴた
かみ
こ
のぞ
なん
あた
やくそく
はちみつ
いた
き
かみ
かのじょ
い
ぷれぜんと
おりんぽす
のぼ
じょおうばち
じゅぴた
かみ
はちみつ
みつばち
じゅぴた
こぶね
はま
ひょうちゃく
とき
き
たば
たん
こぶね
わ
ふね
ふう
なが
きし
ちか
したが
ジュピター神は、人間をあいしていたので、そのお願いを大変不快に思ったが、約束は約束なので、彼女の望みを断ることができなかった。そこで、ジュピター神は、彼女にこんなふうに応えた。
「おまえの望みはかなえてやる。だが、もし、おまえが、その針を使うならば、おまえ自身の命
あや
さ
はり
はり
つか
じしん
いのち
のぞ
じゅぴた
かみ
かのじょ
こた
かのじょ
のぞ
ことわ
ねが
たいへんふかい
やくそく
やくそく
じゅぴたかみにんげん
も危ういものになるだろう。おまえの刺した針は、
きずぐち
傷口から抜けることはない。そして、その針を失
し
ぬはりうしな
うとき、おまえは死ぬ」 4、男と彼のイヌ
ある男が、田舎の別荘に滞在しているときに、嵐にあって足止めを食った。彼は、家族の
しょくたく
あらし
あしど
く
かれ
かぞく
おとこ
いなか
べっそう
たいざい
おとこ
かれ
いぬ
食卓のために、まず最初に、羊(ヒツジ)を殺
つぎ
やぎ
やぎ
ころ
あらし
さいしょひつじひつじころ
し、次に山羊(ヤギ)を殺した。嵐はそれでもお
さまらず、つないであった牡牛(ウシ)も殺すことになった。
これを見ていた犬たちは、みなで会議を開き、そしてこんなふうに語り合った。
「ここから出て行くときが来たようだ。ご
しゅじんさま
で
い
き
かた
あ
み
いぬ
かいぎ
ひら
おうしうしころ
主人様ときたら、大切なウシさえ食べてしまうの
われわれ
ぶじ
す
たいせつうした
だから、われわれ(我々)も無事で住むはずがない」 5、病気のトンビ(鳶)
病気で死にそうになった鳶(トンビ)が、母親にこう言った。
「お母さん。悲しまなくても平気です。神様がきっと、救ってくれますから。」 すると母親が言った。
「祭壇から生贄をくすねてばかりいるお前に、
はら
さいだん
いけにえ
まえ
ははおや
い
すく
かな
へいき
かみさま
いびょうき
し
とび
とんび
ははおや
びょうき
とんび
とび
腹を立てていない神様などいるのかえ?」
たかみさま
6、野生のロバとライオン
野生のロバとライオンが、一緒に狩をした。ライオンは力で持って、ロバは脚
かり
こうけん
らいおん
ちから
も
ろば
きゃくりょく
おお
やせい
ろば
らいおん
いっしょ
かり
やせいろばらいおん
力でもっ
せいか
てそれぞれ狩に貢献した。そして、大きな成果
あ
と
ぶん
き
を上げたので、それぞれの取り分を決めることにした。
ライオンは獲物を三等分するとこう言った。 「私は、動物の王であるが故に、まず
さいしょ
わたし
どうぶつ
おう
ゆえ
らいおん
えもの
さんとうぶん
い
最初の部分をもらう。二番目は、狩の報酬と
さんばんめ
きみ
ぶぶんにばんめかりほうしゅう
してもらう。さて、三番目だが、^君が、これを
じたい
辞退しないと、大いなる災いが降りかかること
おおわざわお
になる。」
7、後家とヒツジ
大変貧しい後家さんが、ヒツジを一匹かっていた。彼女は、ヒツジの毛はほしいが毛を刈る費用が惜しかった。そこで、自分で刈る事にした。しかし、鋏がうまく扱えなかったので、毛と一緒に肉まで切
ってしまった。
ヒツジは痛さのあまり、 のた打ちまわってこう言った。
「ご主人様、 あなたはなぜ、私を、傷つけるのですか?毛が欲しいから、毛刈り職人に頼んでください。もし、肉が欲しいのなら、肉屋に頼んでください。苦しまずに殺してくれますから。。。」
8、タカとトンビとハト(鷹と鳶と鳩) ハトたちは、しょっちゅうトンビに襲われるので、その害から逃れようと、タカに守ってくれるようにお願いした。タカは
はとねが
たか
こころよ
がい
のが
たか
まもおそ
快く承知した。
い
しょうち
そこで、ハトたちは、タカを鳩舎に入れたのだが、このとき初めて、タカがトンビよりも、
どうもう
はじ
たか
とんび
たかきゅうしゃ
獰猛であることに気がついた。大勢の仲間がタ
きたいせいなかま
カに殺された。
その日一日の被害は、トンビから受ける被害の一年分以上だった。 9、二匹のイヌ
にびき
いちねんぶんいじょう
ひいちにち
ひがい
とんび
う
ひがい
ある人が、イヌを二匹飼っていた。一匹は
りょうけん
ひといぬにびきかいっぴき
猟犬として訓練し、一匹は家の番をする
しこ
くんれんいっぴきいえばん
ように仕込んだ。
おとこ
男は猟を終えて家に帰ってくると、いつも
ほう
えもの
あた
りょうけん
りょうおいえかえ
ばんけんふんまん
番犬の方に獲物をたくさん与えた。猟犬は、憤懣やるかたなく、番犬を咎めだてた。
まえ
りょうく
てつだ
おれ
ばんけん
とが
「お前は、猟の手伝いもしないくせに、俺の獲物を貪り食う」
すると、番犬はこう答えた。
ばんけんひなん
こた
えもの
むさぼ
[私を非難するのはお門違いですよ。
もんく
わたしい
かどちが
文句を言うならご主人様に言った下さいな。だ
しゅじんさま
あ
わたし
はたら
おし
しゅじんさまいくだ
って、ご主人様は、私に働くことを教えずに、他人の上がりで暮らすように躾けたのですからね。]
たにん
く
しつ
10、老婆とワイン壷
老婆は地下室を片付けていて、空のワイン
つぼ
ろうばみ
ちかしつ
かたづ
そら
わいん
ろうばつぼ
壷を見つけた。そして匂いを嗅いでみた。
すば
にお
におか
「ああ、なんて素晴らしい匂いなんだろう!この壷に入っていたワインは、よっぼど上等だったに違いない。だって、こんなに甘い香りを残して行ったのだからね!」
うつくいちが
あま
かお
のこ
つぼ
い
わいん
じょうとう
美しい思い出は、生き続ける。
りょうし
あみ
おもでいつづ
11、漁師と網
腕のよい漁師が上手に網を投じて、
さかなあみ
うで
りょうし
じょうず
あみ
とう
魚を一網打尽にした。そして、熟練した
おお
さかな
のこ
がんぺき
ひ
いちもうだじんじゅくれん
網さばきで、大きな魚を残らず岸壁まで曳
あ
き上げた。
しかしさしもの漁師も、小魚が、網の目をすり抜けるのは如何ともし難かった。
ぬ
いかん
がた
りょうし
こざかな
あみ
め
12、エチオピア人
こくじんみ
じん
黒人の奴隷を買った男が、彼の黒い肌
まえ
しゅじん
たいまん
かれ
あら
どれいかおとこかれくろはだ
を見て、前の主人が怠慢で、彼を洗ってやらなかったので、汚れがこびりついているのだと
おも
よご
思った。
おとこ
男は、彼を家に連れてくると、ひっきりな
あら
はだ
いろ
お
かれいえつ
しにごしごし洗った。しかし、肌の色は落ちなかった。それどころか、彼はひどい風を引いてしまった。
生まれつきは変わらない。 13、雌ライオン
どこの家族が一番数が多いかをめぐって、
どうぶつ
かぞく
いちばんかずさわ
おお
めす
う
か
かれ
かぜ
ひ
動物たちの間に騒ぎが持ち上がりました。
どうぶつ
めすらいおん
あいだもあ
ついに動物たちは、雌ライオンのところまで押しかけていきました。
お
「いったいあなたは何匹子供を生みましたか?」と集まった動物たちは尋ねました。 「たったいっぴきですよ」と雌ライオンは落ち着いて答えました。
「でも、それはライオンの子です。」 14、水浴びする少年
少年が川で水浴びしているうちに、深みにはまってしまいました。
溺れてしまいそうになったとき、そこに見知らぬ男がとおりかかりました。
少年は、この人に助けてもらうしかないと思い、大声で呼びかけました。
すると、男は、むしゃむしゃなことをしてはいけないと説教を始めました。 少年は大声で言い返しました。
「ああ、すぐに助けてください、お願いです。説教は後にして!」
15、ロバとその飼い主
ロバとその飼い主が山道を下ろうとしていると、
こ
つ
こた
めすらいおん
お
あつ
どうぶつ
たず
なんびきこどもう
急にロバが無理やり別の方向に行こうとしました。飼い主の握っている綱を必死で引っ張るのです。
「お前、いったいどうしたんだ?」と飼い主は怒鳴りつけました。
「そっちの方に行ったら、崖から落ちて死んでしまうぞ。」
せっかく飼い主が親切に言っているのに、ロバはあくまでも自分の行きたいほうに行こうとします。
あまりに頑固で、人の意見を聞く耳を持ちません。飼い主は懸命にロバを引きとめようとしましたが、とうとう抑えきれなくなりました。
ロバは綱を振り切ると、山道を転がり落ち、行方が知れなくなりました。
16、蚤と牛
ある時、蚤が牛に聞きました。
「そんなに大きくて力持ちなのに、どうして人間にこき使われて、ひどい仕打ちを受けているんだい?僕はこんなに小さいのに、思う存分人間の血を吸ってるのにさ。」
すると、牛は答えました。
「僕は恩知らずになりたくないんだよ。だって、僕は人間に愛され、世話を受けているからね。時々
頭や肩をなでてくれるし。」
すると、蚤は言いました。
「僕は不幸だなあ。だって、僕が人間になでられたら、間違いなく死んでしまうんだもの。」
17、鷹と矢
弓の名人が鷹に狙いをつけて、矢を放すと、矢は見事鷹の心臓に突き刺さりました。
死ぬ間際に、鷹が頭をもたげて矢を見ると、なんとその矢には自分の羽がうついているではありませんか。信じられませんでした。
「ああ、この死は余計に辛い。」と鷹はつぶやきました。
「何しろ、自分の羽が使われている武器で死ぬんだから。」
18、野生の猪
猪が木の幹で牙を研いでいると、そこに狐が通りかかりました。
狐はどうして牙を研いでいるのか不思議に思いました。
「どうしてそんなことをしているんだい?近くに猟師がいるわけでも、猟犬がいるわけでもないし、危険が迫っているようにも見えないけど。」と狐は言
いました。
「確かにね。」と猪は答えました。
「でも、本当に危険になったときには、牙を研いでる暇はなくなるからな。」
19、ライオンとロバ
ある日、ライオンが森の小道を歩いていました。 森の動物たちは皆頭を下げたり、目を伏せたりしていましたが、ロバだけは、ライオンが通り過ぎる時に、耳障りなことを言いました。
ライオンは一瞬カットなりましたが、何にも言いませんでした。
一言でも何か言えば、この馬鹿なロバを認めることになるから、そんなもったいないことはしなかったのです。
20、猫の尻尾
雨が降り始めたので。ノアはすべての動物を自分の箱舟に呼び寄せました。
すべての動物が集まった着ましたが、猫だけが鼠を追いかけていました。いつもならすぐに鼠を捕まえられるのに、その日はどうしても鼠が見つかりません。みんなのあの箱舟に入ってしまったとは知らなかったのです。
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